一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。
しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。
村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることの無い久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。
だが、四肢を失い、言葉を失ってもなお、自らを讃えた新聞記事や、勲章を誇りにしている久蔵の姿に、やがてシゲ子は空虚なものを感じ始める。
敗戦が色濃くなっていく中、久蔵の脳裏に忘れかけていた戦場での風景が蘇り始め、久蔵の中で何かが崩れ始めていく。
そして、久蔵とシゲ子、それぞれに敗戦の日が訪れる……。
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