著作で数々の賞をうけた歴史社会学者の小熊英二、初の映像監督作品。
【終了日:12/31(木)】
【監督】小熊英二
【キャスト】菅直人,亀屋幸子,ヤシンタ・ヒン,吉田理佐,服部至道
2015年/日本
/109分/アップリンク /DCP
12月26日(土)〜12月31日(木) |
17:00〜18:55 |
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一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
2012年夏、東京。約20万の人びとが、首相官邸前を埋めた。NYの「ウォール街占拠」の翌年、香港の「雨傘革命」の2年前のことだった。
しかしこの運動は、その全貌が報道されることも、世界に知られることもなかった。
人びとが集まったのは、福島第一原発事故後の、原発政策に抗議するためだった。事故前はまったく別々の立場にいた8人が、危機と変転を経て、やがて首相官邸前という一つの場につどう。彼らに唯一共通していた言葉は、「脱原発」と「民主主義の危機」だった――。
はたして、民主主義の再建は可能なのか。現代日本に実在した、希望の瞬間の歴史を記録。
【スタッフ総勢2名、企画決定30分】
「映画を作ろうじゃないか。監督と出資は俺で、撮影と編
集は君だ」。そこから製作は始まった。
【無償提供された自主撮影映像を編集】
ネット上で探し当てた自主撮影映像を、撮影者の賛同と協力にもとづき多数使用。現場映像だけが持つ生の迫力。
【世代・国籍・出身・地位、全てがちがう8人の体験】
原発事故の恐怖、運動の台頭、首相との会談までの経緯を、元首相を含む8人のインタビューで構成。
【監督の言葉】
私は、この出来事を記録したいと思った。自分は歴史家であり、社会学者だ。いま自分がやるべきことは何かといえば、これを記録し、後世に残すことだと思った。
映画を撮ったことはなかった。映画作りに関心を持ったこともなかった。しかし、過去の資料の断片を集めて、一つの世界を織りあげることは、これまでの著作でやってきた。扱うことになる対象が、文字であるか映像であるかは、このさい問題ではなかった。
いうまでもないが、一人で作った作品ではない。同時代に現場を撮影していた人びと、インタビューに応じてくれた人びとが、すべて無償で協力してくれた。
なにより、この映画の主役は、映っている人びとすべてだ。その人びとは、性別も世代も、地位も国籍も、出身地も志向もばらばらだ。そうした人びとが、一つの場につどう姿は、稀有のことであると同時に、力強く、美しいと思った。
そうした奇跡のような瞬間は、一つの国や社会に、めったに訪れるものではない。私は歴史家だから、そのことを知っている。私がやったこと、やろうとしたことは、そのような瞬間を記録したという、ただそれだけにすぎない。
いろいろな見方のできる映画だと思う。見た後で、隣の人と、率直な感想を話しあってほしい。映画に意味を与えるのは観客であり、その集合体としての社会である。そこから、あなたにとって、また社会にとって、新しいことが生まれるはずだ。
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