「木靴の樹」「ポー川のひかり」エルマンノ・オルミ監督が、ある街の聖堂を舞台に描いた、現代の黙示録。
【原題】il villagio di cartone
【監督】エルマンノ・オルミ
【キャスト】マイケル・ロンズデ―ル , ルトガー・ハウアー , アレッサンドロ・アベル , マッシモ・デ・フランコヴィッチ
2011年/イタリア/87分/アルシネテラン/ブルーレイ上映
12月14日(土)〜12月20日(金) |
13:55〜15:30 |
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12月21日(土)〜12月23日(月) |
10:30〜12:05 |
12月24日(火)〜12月27日(金) |
10:30〜12:05 16:10〜17:45 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
『木靴の樹』『ポー川のひかり』など数々の名作で知られるイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督の最新作である。
かつてオルミ監督は、『ポー川のひかり』(06)を自身の映画人生における最後の劇映画と語った。しかし5年後、前言を翻して、現代の黙示録ともいうべき本作『楽園からの旅人』を発表する。世界の状況が一層混迷するなか、この作品をとおして、よりよい社会への思いを改めて示さずにはいられなかったのだ。
明日にも取り壊される教会堂にひとり残る老司祭と、救いを求めてやってきたアフリカからの旅人たち。堂のなかに、にわかに誕生した段ボールの村。二夜にわたり人々の交流する姿があたかも一幕劇のように描かれ、いくつもの人生がひとつに織り成されてゆく。
映画では、さまよう人々への心優しい描写が印象的だ。彼らの境遇は苛酷だが、みなこよなく高貴で美しい。子どもは顔を輝かせ、母親がいて、新しい生命が誕生し、流す涙、淡い恋もある。
オルミ監督にとって人間の存在そのものが喜びなのだ。「世界を温もりのあるものに戻す」という彼の人間性への信頼は失われることはない。
不安に満ちた現代社会のなかで、旅人たちの神々しさを示し、すべては破局の中から新しく始まり、未来は私たちが築くものと語る『楽園からの旅人』は、まさに希望の映画である。
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