公式サイト: http://neruda-movie.jp
英雄的ノーベル文学賞詩人を描く、パブロ・ラライン監督が仕掛けた独創的文学サスペンス
【終了日:12/15(金)】
【原題】Neruda
【監督】パブロ・ラライン
【キャスト】ガエル・ガルシア・ベルナル,ルイス・ニェッコ,メルセデス・モラーン
2016年/チリ,アルゼンチン,フランス,スペイン/108分/東北新社,STAR CHANNEL MOVIES/DCP
12月02日(土)〜12月08日(金) |
15:25〜17:15 |
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12月09日(土)〜12月15日(金) |
19:45〜21:35 [レイト] |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,100 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,100 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,100 |
会員 | ¥1,200 | ¥1,100 | ¥1,100 |
【英雄的ノーベル文学賞詩人を誕生させた背景とは】
詩人として1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの国民的ヒーロー、パブロ・ネルーダは、共産主義の政治家であった。芸術を愛し、女性を愛し、酒場を愛する享楽主義者であり、何よりも貧しい人々に寄り添う博愛主義者だった。しかし、その思想ゆえ、ネルーダは生涯の大半をチリ政府から追われる逃亡生活に費やした。ただ、その逃亡生活こそ、ノーベル文学賞を受賞した糧となったのである。その逃亡生活とは何だったのか。本作は、弾圧のなかで、人々がネルーダを愛し、そして代表作「大いなる歌」を愛した背景に迫った意欲作である。
ネルーダの魅力はその多面性にある。詩に託したものは恋愛や自然だけではなく、政治や権力批判にまで及んだ。上院議員でアルゼンチン貴族の妻をめとり、画家のピカソなど稀代な芸術家たちと親密な交流を持つ一方、貧しい労働者階級の人々にも目を向けた共産党員であった。誰にでも愛情を注ぐ博愛主義者かと思えば、女性や酒場が好きで、逃亡中でさえ、その享楽的な生活をやめなかった。本作は、ネルーダが逃亡した謎の1年である1948年にスポットを当てているが、それだけでも彼の人間性を余すところなく伝えている。名作『イル・ボスティーノ』(1994年)ではネルーダとナポリの貧しい郵便配達員の友情を描き、貴賤や地位に関わらず、等しく人々と付き合うネルーダの人柄がモチーフとなったが、本作は、より幅広いネルーダの人間性を描き出している。
【チリ人監督、パブロ・ララインの斬新で叙情的なサスペンス】
ネルーダと同じチリ人の監督であるパブロ・ララインが祖国の美しい自然や第2次世界大戦直後の混乱期の生活を織り交ぜ、斬新で叙情的なサスペンス映画に仕立て上げた。メキシコを代表する俳優のガエル・ガルシア・ベルナルがネルーダを追跡する警官ペルショノーを演じる。ラライン監督は警官ペルショノーを語り部に捉え、追跡者でありながら次第にネルーダに魅了されていく心の内を語らせ、特異なサスペンス映画に仕上げた。ペルショノーの詩的台詞はネルーダの内なる声とも取れ、追われる者と追う者二人が表裏一体の存在ということがわかる。ネルーダにはチリで人気のコメディアン・俳優ルイス・ニェッコ、アルゼンチン人貴族の妻デリアにはアルゼンチンの人気女優メルセデス・もらーんを配し、キャスティングは国際色豊かだ。脚本家ギレルモ・カルデロンの存在もラライン監督を助けた。第69回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品以降、本作の脚本を評価する声も高まった。随所に入るネルーダの詩、「二十の愛の詩と一つの絶望の歌」は愛を語らせ、「大いなる歌」は自然を讃え、時には無力な人々に声を与えた。音楽担当のフェデリコ・フシドは北欧の著名作曲家グリーグの「ノルウェーの旋律」を挿入し、その物悲しげな旋律で映画の底流に流れる寂寥感や人間の美しさを奏でた。
ネルーダの信奉者であるラライン監督のもとに、ラライン監督映画の常連俳優やスタッフが集まり、ネルーダの人生で最も謎多き地下洗浄潜伏と逃亡の時期を世に送り出した映画だが、その劇中の詩に潜む深い意味を堪能できる映画でもある。
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