アングスト/不安 screen ベティ

公式サイト: http://angst2020.com

本物の《異常》が今、放たれる。。世界各国上映禁止。常軌を逸した実話を描く、映画史上最も狂った驚異の傑作!
【終了日:2020年9/11(金)】

【原題】Angst
【監督】ジェラルド・カーグル
【キャスト】アーウィン・レダー,シルビア・ラベンレイター,エディット・ロゼット,ルドルフ・ゲッツ
1983年/オーストリア/87分/アンプラグド/DCP

8月22日(土)〜8月28日(金)
20:05〜21:35 [レイト]
8月29日(土)〜9月04日(金)
18:15〜19:45
9月05日(土)〜9月11日(金)
16:45〜18:15
  一般 大専 シニア
通常 ¥1,800 ¥1,500 ¥1,100
会員 ¥1,500 ¥1,200 ¥1,100
高校生以下・しょうがい者:¥1,000
<R15+>指定作品
★[レイト]回はレイトショー割引
  一般 大専 シニア
通常 ¥1,500 ¥1,200 ¥1,100
会員 ¥1,200 ¥1,100 ¥1,100
高校生以下・しょうがい者:¥1,000
前売り券を1,400円にて販売中
販売場所:劇場窓口(公開前日まで)
前売り券特典:【不安ステッカー】
オンラインチケット購入はこちら

あまりに<異常>でほぼ「封印」されていた、途方もない傑作である。裁判の際、「女性が私のために恐怖で震えているのが大好きだ。それは中毒のようなもので、絶対に止まらない」「私は単に殺人への欲望から彼らを殺した」と語った、殺人鬼ヴェルナー・クニ―セクが起こした1980年1月、オーストリアでの一家惨殺事件。約8年の刑期を終えて予定されていた釈放の1カ月前、就職先を探すために3日間のみ外出を許された際の凶行だった。
決して世に放出してはならなかったこの狂人の異様な行動と心理状態を冷酷非情なタッチで描写した実録映画が『アングスト/不安』だ。斬新なカメラワーク、狂人のモノローグで綴る構造、そして全編徹底された冷たく陰鬱なトーン。荒涼とした暗鬱の世界をとらえる映像はひたすらに暗く寂しく、静謐な空気のなか響く狂人の魂の囁きが異常性を際立たせる。描かれる内容もさることながら、作品自体が<異常>であり、その凄まじさは他に類を見ない映画史上に残る芸術性をも発揮、観る者の心に深い傷痕を残す。1983年公開当時、嘔吐する者や返金を求める観客が続出した本国オーストリアでは1週間で上映打切り。他のヨーロッパ全土は上映禁止、イギリスとドイツではビデオも発売禁止。アメリカではXXX指定を受けた配給会社が逃げた。ジェラルド・カーグル監督はこれが唯一の監督作。殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額実費で製作、全財産を失った。発狂する殺人鬼K.を熱演したのは『U・ボート』(81)のアーウィン・レダ―。

撮影、編集は『タンゴ』(81)でアカデミー賞最優秀短編アニメ賞を受賞した世界的映像作家ズビグニェフ・リプチンスキ。冷徹なエレクトロサウンドは元タンジェリン・ドリーム、アシュ・ラ・テンペルのクラウス・シュルツが担当した。この音源は作品の編集前から完成しており、リプチンスキとカーグル監督は音楽に合わせて作品を編集。映画の内容を知らされていなかったシュルツは完成した作品を見て絶句、逮捕されるべきは劇中の殺人鬼なのか、あるいはこの映画を作ってしまった監督なのか、わからなくなったという。サウンドトラックの一曲、“Freeze”はマイケル・マン監督の『刑事グラハム/凍りついた欲望』(86)でも使われた。狂人モノローグにはギロチンで死刑となった実在の「デュッセルドルフの吸血鬼」ペーター・キュルテンの告白の言葉が引用された。
『カルネ』(91)のギャスパー・ノエ監督は本作を60回鑑賞、自身の作品で常にオマージュを捧げている。シリアルキラー映画の極北『ヘンリー』(86)の欧州版といわれるが、制作は『アングスト/不安』が3年早い。焦燥と不安を表現し、止めどなく動く主人公の姿を追いながらも、心の中を体感するような感覚すら得る映像世界。抑圧された狂気の恐ろしさ、封印された恐怖の最高点を、思い知る時が来た。2020年、果てしない陰鬱さが日本のスクリーンを初めて染め上げる。実際の殺人鬼、ヴェルナー・クニ―セクは『アングスト/不安』ポスプロ中の1983年、刑務所脱走を試みたが失敗、いまだに監獄で日々を過ごしていると思われる。

【実際の事件】

1946年、ヴェルナー・クニ―セクはオーストリア・ザルツブルグに私生児として産まれる。学校を休みがちで、家出と盗みを繰り返した。
1963年、16歳の時に自分の母親をナイフで10回刺し、ドイツへと逃亡。母親は生き延び、殺人未遂で彼はハンブルグで逮捕され、2年の拘禁を処された。
何軒かの強盗の後、1973年、クニ―セクは73歳の女性の家を訪ね、突然に銃で撃った。彼は自身の精神の異常を訴えたが、懲役わずか8年半となる。
1980年、就職活動のために3日間の仮出所を許された彼は、55歳の母親、26歳の車椅子に乗った障がいを持つ息子、24歳の娘の3人の住む家の窓を破壊して侵入。夕方に帰宅した母親と娘をロープで縛り、強盗だと思った母親はクニ―セクに小切手を渡した。
しかし、彼の動機は「殺人に対する純粋な欲望」であったため、3人を7~11時間に渡る素手での拷問の末に絞殺した。一度、母親を延命させるために薬を与えたという。彼らの飼っていた猫も殺害された。クニ―セクは、彼らの遺体とともに一夜を過ごした。
遺体を家族のメルセデスに詰め込んだクニ―セクは、レストランを訪問。食事の際も黒い手袋を身に着け、現金を大量に所持する無口な男を不審に思った従業員は、車のナンバープレートを書き留め、憲兵に通報。
一方、3人家族の家屋の壊れた窓を発見した憲兵は、彼らが行方不明となっていたため車の所在と共に捜索を始めていた。間もなくしてクニ―セクは逮捕され、トランクの中から遺体が発見された。彼は地方裁判所の独房で自殺を試みたが、失敗に終わる。1980年7月、終身刑を宣告される。
1983年、スタイン刑務所からの脱走を試みるが失敗。

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