記憶の技法 screen ベティ

公式サイト: https://www.kiokunogihou.com

迷子の自分を探すため、失われた記憶のピースをたぐり寄せる―吉野朔実作品初の実写映画化!
【終了日:2021年5/28(金)】

【監督】池田千尋
【キャスト】石井杏奈,栗原吾郎,柄本時生,西本まりん
2020年/日本/105分/KAZUMO/DCP

5月22日(土)〜5月28日(金)
17:30〜19:20
  一般 大専 シニア
通常 ¥1,800 ¥1,500 ¥1,100
会員 ¥1,500 ¥1,200 ¥1,100
高校生以下・しょうがい者:¥1,000
5/23(日)17:30回上映後、
池田千尋監督による舞台挨拶開催
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東京、福岡、釜山──わたしの帰る場所はどこ? 美しくも残酷な記憶をめぐるミステリー

代表作「少年は荒野をめざす」「ジュリエットの卵」「恋愛的瞬間」のほか、いくつもの心揺さぶる珠玉の傑作漫画を世に送り出し、2016年に急逝した吉野朔実。独特の心理学的なアプローチで人間の深遠なる“心”の領域を探求したその作品世界は、美しくも時に残酷であり、孤高の文学的な香りを漂わせて多くの読者を魅了した。また、このカリスマ的な人気漫画家は映画への造詣が深く、雑誌連載エッセイをまとめた2冊のシネマガイドブックも発表している。そして、このたび2002年の同名中編漫画を原作とする映画『記憶の技法』が完成。ファンにとっては待望の吉野ワールド、初の実写映画化が実現した。

【巨匠、黒沢清の愛弟子、池田千尋監督が紡ぐ心理サスペンス】

ある日突然、大好きな両親が本当の親ではないという衝撃の事実に直面した女子高校生の揺れる想いを描く本作は、アイデンティティーが確立されていない多感な少女の自分探しの青春ストーリーであり、吉野朔実原作ならではの心理サスペンスでもある。東京から福岡、さらにフェリーで韓国の釜山を訪れる5日間の旅は、華蓮の封印された記憶を呼び覚まし、12年前に彼女の本当の親とふたりの弟の身に降りかかった悲惨な事件の真相を浮かび上がらせていく。その謎解きのさなかに幾度となく胸を引き裂かれながらも、自分自身が何者かを確かめるために、未来への一歩を踏み出すために、ありったけの勇気を奮い起こして真実を追い求める主人公の姿からひとときも目が離せない。

このうえなく繊細にして奥深い吉野ワールドの映画化に挑んだのは、先頃『スパイの妻』でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した巨匠、黒沢清の愛弟子である池田千尋監督。2008年の『東南角部屋二階の女』で長編デビューを果たし、黒沢作品『クリーピー 偽りの隣人』や青山真治監督の最新作『空に住む』に共同脚本で携わった注目の気鋭が、思いがけない恐怖が待ち受ける少女の心の旅路を、濃密なスリルと豊かなエモーションを息づかせて紡ぎ上げた。ブランコに乗る少女、たらいの中で泳ぐ金魚、テレビがつけっぱなしの無人のリビングルームなど、主人公の鮮烈な記憶のイメージをフラッシュバックで映像化し、本格的なミステリー映画に仕上げた演出力も見逃せない。

【若手女優、石井杏奈が記憶探しの旅を演じる単独主演作】

主演はダンス&ボーカルグループ「E-girls」 のパフォーマーであり、女優としての活躍も目覚ましい石井杏奈。『ガールズ・ステップ』『ソロモンの偽証 前篇・後篇』で第58回ブルーリボン賞新人賞に輝き、『四月は君の嘘』『心が叫びたがってるんだ。』、TVドラマ「チア☆ダン」、FOD/Amazonプライムドラマ「東京ラブストーリー」などの話題作に相次いで出演してきた若手女優が、ひたむきに自らの心の扉を開こうとする華蓮の変化、成長をみずみずしく演じきった。

ひょんな偶然の成り行きで華蓮の旅のパートナーとなり、自らも心に葛藤を抱える孤独な少年、怜に扮するのは、『桐島、部活やめるってよ』『リトル・フォレスト 冬・春』などに出演し、本作が惜しくも引退作品となった栗原吾郎。記憶をめぐるミステリーのキーパーソンと言うべき金魚屋の青年役を柄本時生、華蓮を深く愛しながらも重大な秘密を隠し持つ両親役を小市慢太郎、戸田菜穂という実力派キャストが演じている。そして『凶悪』『ひとよ』の白石和彌監督とのコラボレーションで知られ、『ソラニン』『トリガール!』『坂道のアポロン』といったヒット作や河瀨直美監督の最新作『朝が来る』を手がけてきた髙橋泉が脚本を担当。池田監督とは、彼女の前作『スタートアップ・ガールズ』に続く2度目のタッグ作となる。

【story】

自分が何者かを確かめるために、未来への一歩を踏み出すために、ありったけの勇気を奮い起こして真実を追い求める

東京に住むごく普通の女子高校生、鹿角華蓮(かづの・かれん)は、奇妙な記憶喪失癖に悩んでいた。幼少期の記憶の断片が不意に脳裏をよぎり、しばしば意識が飛んでしまうのだ。そんなある日、韓国への修学旅行のためにパスポート申請用の戸籍抄本を手にした華蓮は、自分に“由(ゆかり)”という姉がいたことを知る。しかも由は4歳の時に死亡し、華蓮は“松本”という家から今の両親に引き取られた事実が判明。本当の親はどこにいるのか。なぜ、自分は養子として出されたのか。そのすべてを知りたい華蓮は嘘をついて修学旅行をキャンセルし、出生地の福岡県福岡市へ旅立つ。そのルーツ探しに協力してくれた青い瞳を持つ同級生、穂刈怜(ほがり・さとい)とともに現地調査を行う華蓮は、失われた記憶のピースをたぐり寄せながら、想像を絶する真実に迫っていくのだった……。

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