ヴィゴ・モーテンセン製作・主演・音楽。消えた娘を捜して荒野を彷徨う父。たどり着くのは地上の楽園か、それともー。
【原題】Jauja
【監督】リサンドロ・アロンソ
【キャスト】ビゴ・モーテンセン,ビールビョーク・マリン・アガー,ギタ・ナービュ
2014年/アルゼンチン,デンマーク,フランス,メキシコ,アメリカ,ドイツ,ブラジル,オランダ /110分/ブロードメディア・スタジオ /DCP上映
6月27日(土)〜6月28日(日) |
15:25〜17:15 20:55〜22:45 [レイト] |
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6月29日(月)〜7月03日(金) |
11:35〜13:25 20:55〜22:45 [レイト] |
7月04日(土)〜7月10日(金) |
18:40〜20:30 |
7月11日(土)〜7月17日(金) |
14:05〜16:00 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,200 | ¥1,000 | ¥1,000 |
近年、良質かつ野心的な映画を次々と生み出し、ヨーロッパなどの国際映画祭を賑わせている南米の大国アルゼンチン。これまで日本では特集上映での紹介のみにとどまってきた同国の鬼才リサンドロ・アロンソの長編第5作『約束の地』は、2014年のカンヌ国際映画祭で多くのジャーナリストを驚嘆させ、国際映画批評家連盟賞を受賞した幻想的なロードムービーである。
過去4作品で未開の大自然のまっただ中にカメラを持ち込んだアロンソ監督は、およそ通常の商業映画とはかけ離れたアーティスティックな作風の持ち主で、その並々ならぬ才能に惚れ込んだヴィゴ・モーテンセンとのコラボレーションが実現。少年時代を過ごしたアルゼンチンを“第二の故郷”と例えるこの世界的なスター俳優は、主演のみならず製作と音楽も兼任し、「これまでに関わった仕事の中で、最も満足のいく経験のひとつになった」と語るほどの自信作を完成させた。
誰もたどり着いたことのない伝説の地“ハウハ”についてのテロップで幕を開ける本作は、1882年のパタゴニアを訪れたひと組の父娘の物語だ。アルゼンチン政府軍による先住民の掃討作戦に参加しているデンマーク人エンジニア、ディネセン大尉のひとり娘インゲボルグが、海辺の野営地から忽然と姿を眩ました。娘を愛してやまないディネセンは必死の捜索を繰り広げるが、思わぬ障害や険しい地形に行く手を阻まれてしまう。やがて、乗っていた馬を失って広大な荒野で孤立したディネセンは、一匹の犬に導かれるようにして摩訶不思議な世界にさまよい込んでいくのだった……。
【南米の鬼才リサンドロ・アロンソ監督×北欧の名撮影監督ティモ・サルミネン
四隅が丸い変形スタンダードの独創的な映像世界】
本作の舞台となるパタゴニアはアルゼンチンとチリにまたがる南米大陸の南端に位置し、3つの世界遺産と約30の国立公園がある希少な生態系の宝庫である。日本人にとってはまさに“この世の果て”というべき荒々しくも神秘的な絶景をバックに、消えた娘を捜し求める父親の壮絶な旅が描かれていく。35mmフィルムによる四隅が丸みを帯びた変形スタンダード・サイズの映像を創出したのは、『ル・アーブルの靴みがき』『浮き雲』といったアキ・カウリスマキ監督の諸作品を手がけてきた撮影監督ティモ・サルミネン。悠然たるロングショットの長回しを多用し、鮮烈な色彩美と豊かな奥行きが際立つヴィジュアルは、比類なき独創性に満ちあふれている。
そしてモーテンセン扮する主人公ディネセンを取り巻く環境の過酷さが増すにつれ、謎めいた映像世界は観る者を超自然的な領域へと誘っていく。ディネセンが岩山の秘境で信じがたい出来事に遭遇するクライマックス、さらにその先の神秘的なエピローグ。19世紀後半のパタゴニアから時空を飛躍し、錯綜する現実と幻想、原始と文明が、まるで合わせ鏡のように浮かび上がってくる魔術的な語り口に息をのみ、目眩にも似た感覚に囚われずにいられない。劇中にはオモチャの人形、水たまり、痣のある犬といった映画を読み解くキーポイントがちりばめられ、あらゆる観客の想像力をかき立てる刺激的な一作となった。リサンドロ・アロンソ監督の類い希な感性が、ヴェルナー・ヘルツォーク、アレハンドロ・ホドロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー、デヴィッド・リンチらに例えられる理由がそこにある。
また本作の原題の『Jauja』(ハウハ)は、神話の中で語り継がれる豊穣と幸福の理想郷を意味する。はたして娘への愛を貫こうとする父親は、前人未踏の地上の楽園=約束の地にたどり着くことができるのか。そのプリミティヴで夢幻的な旅に身を委ね、未知なる陶酔のひとときに浸ってほしい
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