人生は、遠くから見れば喜劇。巨匠・渡辺護監督、最後のおくりもの【終了日:12/25(金)】
【監督】井川耕一郎
【キャスト】愛田奈々,岡田智宏,なかみつせいじ,佐々木麻由子,ほたる
2014年/日本 /71分/PG,ぴんくりんく /35mm
12月19日(土)〜12月25日(金) |
19:10〜20:30 |
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一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,200 | ¥1,000 | ¥1,000 |
1962年、小林悟監督『肉体の市場』(大蔵映画配給)が警視庁に猥褻容疑で摘発される。以後、独立系会社による低予算の成人向け映画が〈ピンク映画〉と称され、斜陽にあった日本映画界を立て直す大きな産業として急成長する。そして、反社会、反体制といったメッセージ性を掲げた若松孝二のアヴァンギャルドな作品群を筆頭に、若者からの熱狂的な支持を集め、メジャーの日本映画とは違ったパワーと魅力で映画的な評価も高まる。
渡辺護、中村幻児、高橋伴明、井筒和幸、滝田洋二郎、廣木隆一、周防正行、黒沢清、瀬々敬久、いまおかしんじなどが監督デビューし、若手作家が巣立つ場所としても、大きな役割を担う。また、白川和子、宮下順子、大杉漣など、ピンク映画を起点として成長を遂げた俳優も少なくない。
製作本数、専門館も減少し、ピンク映画が末期的な状況であることは否めないが、日本映画に唯一残されたプログラム・ピクチャーとして、作家性、娯楽性に富んだ良質な作品が現在も生み出されている。
ピンク映画半世紀の歴史は、紛れもなく日本映画を活性化させた大きな存在であり、ポルノというブランドに隠された「もう一つの日本映画史」である。
黎明期から業界を支え、約200本の作品を撮りあげた巨匠・渡辺護監督が「四十八手」「春画」という日本独特のエロティシズムを題材に本作を企画。25年に渡りピンク映画専門誌の発刊、ピンク映画のアカデミー賞といわれる〈ピンク大賞〉を主宰する「PG」と関西を拠点に月刊でフリーペーパーの発行やイベントを企画する「ぴんくりんく」というピンク映画ファン有志が、2012年の〈ピンク映画五十周年〉を記念し、自主制作という形で本作の映画化に挑み、2013年秋、クランクインに向けての準備がスタートした。
ところが、渡辺監督は製作準備中に病に倒れ、自宅での療養中に他界される。「井川に撮って欲しい」という渡辺監督の意思を受け、近年の渡辺作品の脚本家であり、渡辺監督の長編ドキュメンタリーを完成させた井川耕一郎が初めて商業映画でメガフォンを取り、二組の夫婦をめぐる愛と欲望を軸に、シュールな味わいたっぷりに人間の本質をユニークに浮かびあがらせる作品に仕上げた。
ヒロイン役には、2012年にピンク映画デビューを果たし、同年の〈ピンク大賞〉にて女優賞&艶技賞のダブル受賞という快挙を成し遂げ、現在のピンク映画界で最も期待される女優・愛田奈々。そして、佐々木麻由子、ほたる、岡田智宏、なかみつせいじ、野村貴浩という、近年のピンク映画を支えるベテラン俳優陣が顔を揃え、濃密なエロティシズムを体現している。
35ミリフィルム撮影という映画づくりにこだわり、業界が誇るスタッフ・キャストが結集し、ピンク映画への熱き思いにあふれた、五十周年というアニバーサリーに相応しい本格エロス作をつくりあげた。
【STORY】
江戸の町人風の男と女が、春画の中で様々なまぐわいを見せている。
仰向けになって片足をあげた男の上に、女がまたがり、男の足にしがみつく。
男の足を宝船の帆柱に見立てる。女は弁天様のよう。
それは、性戯四十八手のうちの「宝船」―
結婚一年目の若い夫婦。誠実そうな三十過ぎの一夫と、まだ二十代後半のうぶな千春。
ある晩、千春が、寝言でつぶやいた「たからぶね」という言葉。それ以来、一夫の頭の中にはその言葉が頭からこびりついたように離れなくなる。
そんなある日、一夫は叔父の健次に偶然エロ写真集を見せられ、「たからぶね」が四十八手の体位であることを知る。千春は清純でエロに免疫がないと一夫は思い込んでいたが、実は千春は一夫との結婚前から健次と交際しており、結婚後も夫の目を盗んで健次とのセックスライフを楽しんでいたのだ。やがてその事実を健次の妻・敏子と一夫が知ることになり、ふたりは結託しそれぞれのパートナーへ強烈な仕返しを計画する。
そして、ついに一夫と敏子と復讐の日がやって来た…。
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