11/28(土)〜12/20(日)期間中、劇場ロビーにて、八木澤高明 写真展<黄金町 過去・現在 写真因果経>を開催します。
今年2015年9月、八木澤高明氏が黄金町の外国人娼婦たちを追った「黄金町マリア」が、増補新版として復刊しました。ジャック&ベティでは、旧版「黄金町マリア」が刊行された直後の2007年5月、八木澤氏の写真展<レクイエム黄金町 彼女たちとそれからの私たち>を開催しており、今回は実に8年ぶりのコラボレーション企画となります。
今回の写真展は、そのタイトル通り、黄金町の過去・現在を対比した展示となります。川向こうから黄金町の歴史を見続けてきたこの映画館で、八木澤氏の写真をご堪能ください。
本写真展を開催を記念して、八木澤氏とゲストを招いたトークショーも開催します。本トークの会場は、黄金町が誇る古書店・たけうま書房さん。ぜひこちらもご参加ください。
「黄金町マリア」増補新版刊行記念 八木澤高明写真展
<黄金町 過去・現在 写真因果経>
11/28(土)〜12/20(日) シネマ・ジャック&ベティロビーにて開催
※当館の営業時間中、無料でご鑑賞いただけます。
八木澤高明プロフィール:
1972年神奈川県生まれ。写真家。ノンフィクション作家。写真週刊誌「フライデー」専属カメラマンを経てフリーになる。2001年から黄金町が閉鎖される05年まで、そこで暮らし稼ぐ外国人娼婦たちの生活と喜怒哀楽を追い、また彼女たちの家族が暮らす故国へも取材に赴く。第19回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞『マオキッズー毛沢東のこどもたちを巡る旅」(小学館)、『フクシマ2001、沈黙の春』(新日本出版社)、『娼婦たちから見た日本』(角川書店)、『にっぽんフクシマ原発劇場』(現代書館)、『青線 売春の記憶を刻む旅』(スコラマガジン)他、著書多数。
八木澤高明ブログhttp://yagisawa.cocolog-nifty.com
◆【 11/29(日)】開催記念トークイベント①
八木澤高明 トーク
聞き手:浅井理央(元シネマ・ジャック&ベティ副支配人)
<プレトーク>「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」15:50回上映後、15分程度
※ジャック&ベティにて映画鑑賞のお客様がご参加頂けます
<本トーク> 17:45〜18:45
会場:たけうま書房/参加費500円※1ドリンク付き
どなたでもご参加いただけます。
◆【 12/6(日)】開催記念トークイベント②
八木澤高明
上原善広(ノンフィクション作家/『日本の路地を旅する』他)
<プレトーク>「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」15:20回上映後、15分程度
※ジャック&ベティにて映画鑑賞のお客様がご参加頂けます
<本トーク> 17:15〜18:15
会場:たけうま書房/参加費500円※1ドリンク付き
どなたでもご参加いただけます。
本写真展に寄せて
シネマ・ジャック&ベティ 副支配人 小林良夫
八木澤高明「黄金町マリア 横浜黄金町路上の娼婦たち」が、今年9月に増補新版として復刊された。
旧版「黄金町マリア」が刊行されたのは06年暮れのことだ。05年に黄金町のちょんの間が一斉摘発され、ゆっくりと、しかし確実に街の風景が変わっていく様子を目の当たりにしていた私は、「黄金町マリア」という作品を通じて、そこにいた“彼女たち”の記憶が残されていくことに確かな意義を感じ、その仕事に感謝せずにいられなかった。
当時の私は、有志からなる町おこし団体「黄金町プロジェクト」の立ち上げに参加した流れから、映画館シネマ・ジャック&ベティを引き継ぐことになっていた。そのメンバーである浅井(元シネマ・ジャック&ベティ副支配人)とともに、八木澤氏とコンタクトを取り、劇場近くのカフェで落ち合ったのは、07年2月のこと。なにを話し合ったのか、記憶も定かでないが、そのとき私が持参してサインをねだった「黄金町マリア」には、“行雲流水 八木澤高明”と残っている。
その出会いから三ヶ月後の07年5月、八木澤高明氏の写真展「レクイエム黄金町 彼女たちとそれからの私たち」をジャック&ベティで開催した。写真展は反響を呼び、八木澤氏のトークショーには、当時の状況では考えられないほどの来場者が押しかけた。この街の過去と行く末に関心を寄せていたのは、私たちだけではなかったのだ。
そして今回の「黄金町マリア」増補新版をきっかけに、八木澤氏と数年ぶりに再会することになる。八木澤氏はその後も多彩な著作を上梓し、確かなキャリアを築いていた。一方の私たちの劇場運営も8年目に入り、なんとか落ち着いてきたところだ。“行雲流水”とはいいながら、再び黄金町に集まった私たち。もう一度この場所で、今だからこそできる展示があるのでは、と今回の写真展を企画した。
街の過去と現在を並べるスタイルを用いる本展示のタイトルを、八木澤氏は「黄金町 過去現在 写真因果経」と名付けた。黄金町ちょんの間の一斉摘発からすでに10年。“彼女たち”の色香もすっかり薄れ、遠い過去に変わりつつある今もなお、八木澤氏の因果経に浮かび上がるその面影に胸を衝かれるのは、決して私だけではないはずだ。