ときには前向きな映画館の話を〜映画「旅する映写機」


最近も、映画館閉館の残念なニュースを目にしましたね。

▼吉祥寺バウスシアターが5月末で閉館、『爆音映画祭』など有終飾るイベント開催
http://www.cinra.net/news/20140212-baustheater

さて2/22(土)より上映するドキュメンタリー映画「旅する映写機」のお話です。

本作は、映写機にスポットライトを当てた世にも珍しいドキュメンタリー映画です。

旅する映写機」というタイトル通り、閉館などで使われなくなった映写機が、
別の映画館で現役で活躍していたり、将来使えるように大事に倉庫に保管されている様子を
日本全国、津々浦々を巡って、カメラでおさめた作品です。


本作では、映画館のデジタル化の問題も取り上げられています。

新作上映のためには、高価なデジタルプロジェクターの導入を要するという
デジタル化の問題が、財政的な体力にとぼしい劇場への追い打ちとなり、
多数の映画館が閉館の危機に陥っているというのは事実で、
作品の中でも、「シアターN渋谷」さんが閉館された直後の様子が、
カメラに収められていて、切ない気持ちになります。

ですが、この映画の見所は、
どっこいがんばる映画館たち」だと私は思いました。

大黒座さん、川越スカラ座さん、シネマ尾道さんなど
日本全国の映画館が取り上げられていて、
「ひとくちに映画館といっても、いろいろあって、それぞれいいなあ」と
当たり前のことを再確認させてもらいました。

極め付きは、作品中で最も時間を割かれていると言っても良い
高知県の「大心劇場」さんでしょう。

▼大心劇場
http://wwwc.pikara.ne.jp/mamedenkyu/daishin.html

私自身、初めてこの作品で大心劇場さんを知って、
「こんな映画館あるんだ…」とあぜんとさせられました。
もちろん、とっても良い意味です。

だって館主の小松さんはミュージシャンとしても活動しているのですが、
その名前が「豆電球」ですよ。

▼豆電球ライブ情報
http://wwwc.pikara.ne.jp/mamedenkyu/live.html

今の時代に、映画館がありえないような田舎で、
自分で看板描いて、自分で映写して、町の映画館を運営している館主です。
現在進行形の美談として、苦労している様子を、
再現ドラマをまじえた、感動ストーリーに仕立てて、
深イイ話」とか言われててもおかしくない。

でも、実際の小松さんは、明るく、ふつうに、
田舎の親戚のおじさんのような雰囲気でやっています。
もちろん、とっても良い意味です。

ミュージシャン「豆電球」という、一瞬ちょっと笑えるネーミングとか、
来たお客さんに飴ちゃん配っているとか、
その「軽イイ」感じが、とても魅力的でした。


「映画館のお客さん離れが…」といった深刻なお話はよく目にしますが、
こういう映画館が、がんばっているという前向きな実例は、
貴重でもあり、観る人を元気にさせてくれます。

大心劇場と小松館主についても、ぜひ映画でご覧いただければと思います。

また本作のパンフレットが豪華保存版(監督談)で、
映写機解説・映写機メーカー解説や、コラムなどが充実し、
パンフレットの粋を超えた、読みどころたっぷり一冊になっています。

ぜひこちらも劇場にてお求めください。

小林

▼「旅する映写機」ーシネマ・ジャック&ベティ
2/22(土)〜2/28(金)連日14:35より上映
★2/23(日)上映後、舞台挨拶あり
 加藤元治さん(映写機技師/映写機保存活動)、森田惠子監督
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/262/

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