乗るしかない 名画デジタルリマスターのビッグウェーブに!


本日ゴールデンウィークに突入しまして、劇場も盛況です。
たくさんのご来場ありがとうございます。

さて、ゴダールの「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」が、
デジタルリマスターされ、改めて再公開されるそうです。

▷ゴダールの名作『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』
 寺尾次郎渾身の新訳、デジタル・リマスターで鮮やかに蘇る!
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=30209

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ポスタービジュアルに関しては、ジャック&ベティの横看板もデザインしていただいた
小笠原正勝さんによる旧版のデザインの方がカッコいいッス。

という極私的な感想はさておき、
今回のデジタルリマスターでは、映画館での上映形態の現在形である
DCP(デジタル・シネマ・パッケージ)によるデジタル上映になるものと思われます。

DCPは、近年の映画館のスタンダードとなっている上映素材で、
現在劇場公開されている新作は、ほとんどすべて、この形態で提供されています。
(新作でも、こだわって35mmフィルムで提供される作品や、
 低予算の作品では、ブルーレイ上映などもあります。
 ウルトラ・パナビジョン70で撮影された「ヘイトフル・エイト」が、
 一部の海外の劇場では、70mmフィルムで上映されたというのも話題になりました)

一方では、DCP用プロジェクターの導入に伴い、
旧来の35mmフィルム映写機の撤去と縮小が進んだことによって、
「35mmフィルムで保存されている旧作は、ほとんどの劇場で上映できない」
という課題が生まれています。
「それなら素材をDCPに変換しちゃおう!」となればいいのですが、
劇場でいつ上映されるか分からないという膨大な作品を、
制作コストをかけて、一気にDCPに変換するというわけにもいきません。

ただ、先述の「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」のように、
繰り返しスクリーンで観たいと渇望される傑作たちも、間違いなく存在しています。
そうした傑作群は、最新の上映形態であるDCPにリマスターしてアップデートされ、
(その費用を回収するためにも)劇場で再公開されるわけです。

実はこの“DCPによるデジタルリマスター上映”、
ジャック&ベティで上映が決まっているだけでも、これだけの作品が控えています。

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<ウンザ!ウンザ!クストリッツァ!>の一部の作品
「バベットの晩餐会 デジタルリマスター版」
「シェーン デジタルリマスター版」
「恋恋風塵 デジタルリマスター版」
「冬冬の夏休み デジタルリマスター版」
「地獄の黙示録 デジタルリマスター版」
<エリック・ロメール特集上映>5作品
「山猫 4K修復版」※当館では2K上映
「ルートヴィヒ デジタル修復版」
※2016年4月29日現在
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旧作のリバイバル上映は、以前から行われていたことですが、
35mmフィルムのニュープリント版(再複製)とは異なる
デジタルリマスター版(原盤再作成)という点では、
これほどの量はかつてなかったこと。

これはつまるところ、
名作DCP化のビッグウェーブが来ているということです。

劇場設備のDCPプロジェクターへの移行が一段落し、
「これから当分は、映画館はDCPという形態で上映する」ということが
確定的になった現在、名画たちが次々とDCP化され、
そのお披露目として、日本各地の映画館で上映されていく。

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これは、120年を越える映画の歴史のなかで、
たまたま35mm→DCPの過渡期の時代に、
映画の観客として居合わせた私たちに訪れた
ビッグウェーブといえるのではないでしょうか。

名作たちをスクリーンで堪能できるこの波に、
乗りながら、やや呑み込まれながら、楽しんでみたいなと
観客として、映画館に働く立場として、思っています。

乗るしかない このビッグウェーブに!
bigwave

小林
(個人アカウントから映画館や周辺情報などをつぶやいています→Twitter

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