16ミリ映写技術講習会がおこなわれます


横浜視聴覚センターで毎年行われている<16ミリ映写技術講習会>、7月1日(月)9時より申し込み開始となります。開催は、8月5日(月)です。

▼ 25年度16ミリ映写技術講習会ー横浜市視聴覚センター
http://www.edu.city.yokohama.jp/av/osirase/kousyuu25.htm

この<16ミリ映写技術講習会>は、午前中に映写の原理、映写機の構造や上映に役立つ知識の講習。お昼休憩をはさんで、午後は映写機を使用した実技の練習となっています。実習をこなし、簡単な筆記テストをパスすれば、その日のうちに「認定証」が発行されます。

で、なぜこんなことを知っているかというと、2011年に私も受講したからです。
実はこの講習会の講師は、ジャック&ベティでの16ミリ映写や、トークイベント「映写技師の肖像」などにご登場頂いた、映写技師・江崎克己さんです。

江崎克己(えざき・かつみ)さんプロフィール…1936年、福岡県生まれ。明治薬科大学在学中に、両国のダンスホール専属のアルト・サックス・プレーヤーとして活躍し、同大学を中退。1960年、全国加除法令出版に入社後、映画上映に関わり始める。1967年より神奈川県16ミリ映写機操作技術認定講習会専任講師に就任し、毎週のように県内各地で講師を勤める。株式会社学習館(エルモ映写機代行店)を経て、1975年に映画教材株式会社(北辰映写機代理店)に入社。神奈川県を中心に映写機の販売、東京・千葉・埼玉などでもフィルムレンタル、映画制作、出張映写などを行う。1995年、同社の代表取締役に就任。現在は、南関東地域でフリーの映写技師として活動、また神奈川県内の16ミリ映写講習では40年以上にわたり講師を勤めている。

神奈川の16ミリ映写に関して、江崎さんはまさに“最後の映写技師”といえる存在で、現役で映写もこなしながら、講師を毎年つとめておられます。個人的にも、江崎さんの技術者精神(庭の一角に映写機の部品を貯め込んでいる)、おだやかな人柄(往年はぜったいブイブイいわしてたはず!)に惹かれるものがあり、親しくさせていただいています。

16ミリフィルムは、第2次世界大戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が視聴覚教育を通じて日本の民主化を進めるため、全国の都道府県に米国製の16ミリ発声映写機を無償貸与し、教育映画の上映を推進したのが日本におけるはじまりとされています。
小型で利便性もある16ミリ映画は、劇場用の35ミリ映画とは一線を画して、教育・啓蒙用に製作され、教材(フィルム)は日本全国の図書館や公共機関などに納入されました。しかし次第に、ビデオプロジェクターが普及し、教材もより安価なVTRやDVDへと変化すると、16ミリフィルムの使用機会は激減。映写機メーカーの生産も終了してしまいます。

つまり、新しく16ミリ教材が作られる可能性はほとんどないのですが、ライブラリーには貴重な教材が眠っているのも事実。なかにはデジタル化されておらず、普通には目にすることのできない貴重な作品もあるはず。この眠れる遺産が放置されて、忘れさられてしまうのが一番残念なことです。

<16ミリ映写技術講習会>では、視聴覚センターなどのライブラリーにある16ミリフィルムを使用できる認定証がもらえます。認定証を持っていて、公的な団体(NPO/学校/商店街/クラブ)としての登録があれば、眠れる遺産(16ミリフィルム)を無料で借りて、上映できるのです(もちろん私的な使用や有料上映はできません)。

逆にいうと、この講習会の制度が終わってしまったら、事実上、16ミリフィルムを使用する途はなくなります。そもそも借りることができなくなるわけですから、廃棄されるまで倉庫で眠るしかなくなります。

実はこうした講習会が定期的に開かれている横浜は、全国でも珍しく、これは江崎さんの長年の尽力の賜物というほかありません。
私としては、ぜひ多くのかたに講習を受講して頂きたいと思っています。眠れるフィルムに光をあてることが、横浜において今後も講習会がつづき、貴重な16ミリ映像遺産が今後も活用されることにつながると期待します。

小林

16ミリ映写技術認定証とテキスト

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